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       ドクターホーワ放送室 特別番組
    「わが社にとっての環境問題」 

        
関連資料集
 

 景気が悪くなると、リサイクルすればするほど
  リサイクルが難しくなる、という矛盾

2001/07/12

(中日新聞2001年7月11日朝刊)

 寄稿記事で、リサイクルの問題点を鋭く突いている文章が
ありましたのでご紹介します。

 タイトル  グリーンコンシューマー
 寄稿者  浅井 直樹 氏 (中部リサイクル運動市民の会理事)
 

(本文) 

 
ある町のプラスチック製容器包装(その他プラ)の収集を体験
しました。

 この町では、びっくりするほどごみが洗われており、リサイクルを
支える市民の負担を実感しました。

 その「臭くないごみ」を集めていて、あらためて考えさせられたことが
あります。
 
 それは、循環型社会のために、市民が負担を合意したとしても
経済構造が今のままでは、集めれば集めるほど、リサイクルが
難しくなるという逆説に陥ることです。


 
言うまでもなく、リサイクルとは、使い古して値打ちのなくなった
廃棄物を、新しい製品の原材料として再生使用することです。

 原材料ですから、景気の良いときには需要が拡大し、
値段も上がり、たくさんの廃棄物がリサイクルされます。

 一方、景気が悪くなると需要が減退するので回収量が減り、
ごみ処理が増えます。


 
たとえば、ちり紙交換の車が回って来なくなるので、市民は仕方なく
古新聞や古雑誌をごみに出さなければならなくなるのです。

 これまでの社会では、このように「ごみ処理」が調整弁となって
リサイクルの経済を支えてきました。


 しかし、循環型社会では、景気の循環や需給のバランスとは
関係なく、行政によって、リサイクル可能な廃棄物が分別収集されます。

 技術的にリサイクル可能と判断された廃棄物を、ごみとして処理
することは許されません。

 その結果、リサイクルの経済は、需給の調整弁を失い、慢性的な
供給過剰になります。

 それは、リサイクルが自立的な経済活動としては成り立たず、
社会の新たな負担によってしか支えられないことを意味しています。

 集団回収やリサイクルステーションは、すでに行政の助成なし
には維持できないのです。


 持続可能な社会を実現するために、多くの市民が大きな負担を
担って、集めれば集めるほどリサイクルの首をしめる、この逆説を
解決するためには、需要を大きくする必要があります。

 それがグリーンコンシューマーの運動です。

 たくさんの消費者が買ってくれれば、メーカーはリサイクル原材料を
使う製品の製造ラインを増設します。

 せめて使い捨てにしかできないトイレットペーパーとティッシュ
ペーパーだけでも、消費者の力で新品のパルプを使ったラインを
廃絶したいものです。

 それは、集める負担を受け入れる市民の力を、使う消費行動にも
振り向ければ、簡単に実現することです。
                                 以上
 

 (ドクターホーワのひとりごと)
 循環型社会への移行は、これまであたりまえであった市場経済の
論理が通用しなくなる、という面があるようです。

 この記事のように、これまでに経験したことのない、さまざまな
矛盾が露呈してきています。

 しかし、環境を守る循環型社会への移行が、人類の生き残りに
不可欠であり、絶対的な価値観である、という大前提が世界的に
定着しつつあります。

 そうした制約下で、いかにして、市場の論理をうまく活かしながら
上手に対応してゆくか。

 国家としても、個人としても、一企業としても、 難しいけれど、
さけては通れない問題だと思います。

 



    
































































                          
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