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赤水の対策

Q2:赤水対策にはどのような方法がありますか。

 赤水は、鉄管内面の腐食が進行してくると、サビコブ表面の柔らかい
赤 サビ(Fe2O3)が水に混入し吐出されるわけですから、吐出する前の
配管、又は水に対し化学的・物理的な処理を施せば赤水を防止すること
ができます。

 それには次のような考えがあります。

(I) ろ過装置の利用(浄水器等)
(II) 腐食抑制剤の利用
(III) 腐食論理に基ずき腐食原因の除去

    ア. 脱酸素
    イ. ライニング

(IV)配管の更新


(1)ろ過装置の利用

 ろ過装置には、応急対策として利用できるもので水栓に直接取付ける
ポータブル型浄水器と、配管組込み式のものがあります。
 
 一般的には中空系膜、マイクロフィルターを使ったもの、それらに活性炭
を組合せたものが多いようです。

 赤水対策として利用する場合、鉄分濃度が濃いわけですから目詰まりを
起こしやすく、ろ材の取替周期が短くなります。


(2)腐食抑制剤の利用

 腐食抑制剤の使用は、根本的な赤水対策を行うまでの応急的な処置
という考え方が基本となっています。
 厚生省環境衛生局通知により、使用薬品の種類、注入濃度(平常時
5ppm以下)に制限が加えられ、また防錆剤管理責任者を選任し使用
開始届け、水質検査等も行わなければなりません。
 
 腐食抑制剤は、水が動いている配管系の場合には、腐食を停止する
までには至りませんが、ある程度の効果は期待できます。
 それは、腐食を抑制する以外に赤水の原因である酸化鉄を無色化する
作用があるからです。
 従って、見た目には色は付いていませんが、鉄分濃度が高い場合が
あります。

(3)腐食論理に基づき腐食原因の除去

  (ア) 脱酸素
 水道水中の鉄は、溶存酸素が無ければ腐食しないということが理論的
に明らかになっています。
 脱酸素技術は、細い中空系内に置き、中空系内に水を通し水中の酸素を
中空系内外の分圧の違いで抜き取るというものです。

 この方法による防食 では、溶存酸素濃度が低いほど良いわけですが、
実用上は濃度1ppm以下にしておかないと効果が期待できませんので
処理容量に余裕を見せる必要があります。

  (イ) ライニング
 管厚生工法による管内面ライニング技術による赤水防止対策です。

 これは、管内面にエポキシの塗膜を作り、金属素地を水に接触させ
ないで腐食反応を停止させようとする技術です。
 
ライニング塗膜の信頼性を確保するには、金属面の下地の処理を十分に
行いエポキシの接着力を確保すること。ピンホールを作らないこと、
ライニングを均一にすること、養生期間を十分に取ること、熟練技術者に
よる 施工等を確実に実行しなければなりません。

 しかし、配管系は複雑である ため、全体を均一に研磨し、塗装することが
難しく、限られた時間内での 施工になるため養生期間が短くなる等、その
判断材料の障害事項が多く、耐用年数等については、定かではあり
ません。


(4) 配管の更新

 亜鉛メッキ鋼管を使用した配管は、昭和50年代初期までですから
殆どのビルは築後20年以上を経過しています。
 その期間は水道水の水質的が悪化してきている状態ですから、
腐食も進行していますので一般的に更新されているようです。
 
 ライニング鋼管については、使用開始初期の配管で非ライニングの
亜鉛メッキ継手が使用されているような設備については更新も行われて
います。
 また、一般のライニング鋼管については、弁類、メーター廻りの
異種金属 接合部の腐食により強度低下した配管を部分的に更新し、
赤水対策防止処置を行う等の対策が多いようです。

(5) その他の赤水対策

 磁気処理、電子的処理、紫外線、オゾン処理、物理的処理と
多種の方法 については理論的な裏付けがなく、昭和60年厚生省が
行った調査によれば、その効果については明確に判定できないと
しています。

 このような装置を利用する場合、どんな結果についても十分対応
できるように準備をしておく必要があります。




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